House K

集合住宅の一室を改修するプロジェクトである。クライアントからは、ひとつの空間で多様な過ごし方ができる住宅を求められた。何もないワンルームを用意し、そこに自由に家具を設えることも考えたが、生活行為のきっかけになるようなデザインこそ、多様な使い方を喚起する、ことと考え、ワンルームの空間に起伏となる大きな家具を配置することにした。南北に光や風の通り抜ける気積の大きなワンルーム空間を用意し、高さや大きさ、かたちが異なる什器で空間を満たし、ゆるく全体を連続させることで、什器によって生活の場がつくられていくようにした。窓際に寝そべる、数人で食事をする、仕事をする、アイロンをかける、映画を見る、寝る、などそこで何かをするための台として計画し、現場で詳細な寸法を検証しながら、制作を進めた。ザラザラした壁はワンルームの中でも機能の切り替えを意味する。床や壁、什器はトーンを揃えて今後の生活(物)の背景となるように設えた。住人がひとつづきの什器を手掛かりに、この家の多様な使い方を発見し、空間を育ててくれれば、と願っている。

所在地:宮城県
用途:住宅
面積:75m2
竣工:2019
施工: wonder-wall
写真: Yuriko Tsuchida